束の間の間

 私がアトリエの中で日々行う行為が何かと考えてみると、偶然的事象と意図した行為の結託から生じた物語を「見えるようにする」ことだと言えます。これは、視覚的に認識出来る対象、そしてそれを超え存在する領域を絵画の姿に翻訳するようなことかもしれません。

 またこの“セカイ”を把握するために、人間の器の中にある感覚が”現実らしさ”に触れる瞬間は、束の間の出来事であり、そのわずかな瞬間と私がキャンバスに記録する時間の差異からは、計画的には生じるはずが無い読み違えが生じます。この意図したことと、意図せずに翻訳されたことが共存する絵画空間は、他方に存在するであろうこの世界の慮外な可能性に気付かせてくれます。 

 名前を忘れ夢をみること、自然の脅威を人類が克服すること、そして再び自然が人間を回収する宿命的な遭遇。相反しながらも切り離せない事象を手がかりに、絵画という小さな枠を通してこの“セカイ”を見続けることは、時間軸の先にある我々に秘められた可能性の一片であり、絵を描く者たちの全てでもあります。

BIOGRAPHY

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Phot by Kenshu Shintubo

薄久保 香  KAORU USUKUBO

2010年 東京藝術大学大学院美術研究科博士課程美術専攻修了 博士号(油画)取得

東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了

東京造形大学造形学部美術科絵画専攻卒業

個展・二人展

2020年 「Kaoru Usukubo and Daisuke Ohba – Enlil and Enki」LOOCK Galerie(ベルリン)、2018年「偶然の法則による実験」taimatz(東京)、2017年 「薄久保香個展」taimatz(東京)、2人展「Kaoru Usukubo,Hannes Beckmann 」LOOCK Galerie(ベルリン)2012年「Crystal Voyage」(フリードリヒスハーフェン)​、2011年「crystal moments」LOOCK(ベルリン)「輝くもの天より堕ち」taimatz(東京)、2010年「part and the whole」、Wohnmaschine(ベルリン)2008年「NEXT 2008」(シカゴ)、「UPlogist」Wohnmaschine(ベルリン)、2007年「Wandering season」TARO NASU(東京)

主なグループ展

2019年「WOMAN-銅と柳ー」MA2ギャラリー(東京) 2017年「掛川茶エンナーレ」(掛川) 2016年「絵の旅」(東京)、2015年「Wabi Sabi Shima」Thalie Art Foundation(ブリュッセル)、「CSP3-絵画と彫刻のあり方-」桑沢デザイン研究所(東京)、2014年 「@IOSSELLIANI T-02-IOS pratique vol.0」イオッセリアーニ(東京)、2013年「ミニマル/ポストミニマル 1970年代以降の絵画と彫刻」宇都宮美術館(宇都宮)、「第9回造形現代芸術家展 混沌の淵から」東京造形大学附属美術館 (東京)、2012年「第21回奨学生美術展」特別出品 佐藤美術館(東京)、2011年「第20回奨学生美術展」招待作家 佐藤美術館(東京)、2011年「Tokyo Front Line」アーツ千代田3331(東京)、「横浜トリエンナー2011OUR MAGIC HOUR」横浜美術館(横浜)、2010年「 VOCA 2010 −新しい平面の作家たち− 」上野の森美術館(東京)、2009年 「一個人 only one」 MOT/ARTS(台北)、2007年「アートアワードトーキョー丸の内2007」行幸地下ギャラリー(東京)など

受賞など

2004年  「東京造形大学卒業制作『 ZOKEI展 』」、ZOKEI賞 東京造形大学(東京)、2007年  「東京藝術大学修了制作展」帝京大学買上 東京藝術大学(東京)、2007年  「佐藤国際文化育英財団」第17回奨学生(東京)、2015年「ホルベインスカラシップ」ホルベイン工業株式会社

パブリックコレクション

帝京大学(山梨)、医療法人惇慧会(秋田)、佐藤国際育英財団(東京)

 

ワークショップ

2011年 練馬区美術館(東京)

2012年 横浜美術館(横浜)

2013年 神奈川県立近代美術館(鎌倉)

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